アマチュア無線局の電波防護指針への対応を考察
3月にアマチュア無線の制度改革ということで、電波法の一部が改正された。
多くは、アマチュ無線をする者(しようと考えている者)にとって良い内容の様だが、気になることもある。
私が気になるのは電波防護指針への対応をより厳格化(?)するというもの。
この部分の法律は1999年に施行されており今回改定された訳では無いのだが、今までは200W以上の無線局が落成検査などで調査や資料提供を要求されていただけなのが、今後は200W以下の固定局にも資料の提出を求められるようになるかも知れないと思われる。(そうで無ければ良いが)
どのタイミングで電波防護指針への対応をクリアーしている旨を示す資料提出を求められるのかはわからないが、少なくとも新たに固定局を開局する時は必須になるのではないだろうか??(ちゃんと情報収集をしていないので思い込みで書いているが、、)
この資料を作成するには、計算値を裏付けるためのアンテナの設置状況とアンテナ周りの詳細地図(距離を記載する必要がある)も要求されると思うので結構面倒だ。
そうすると、集合住宅などでベランダにアンテナを設置する場合、HFハイバンドではクリアーする事はほぼ無理な様に思う。
この電波防護指針の計算で重要なパラメーターはアンテナの設置状況とゲイン、送信パワーになる。ここで送信パワーはSSBとCWについては平均電力率が適用される。SSBの場合は0.16、CWは0.5で、100WであってもSSBの場合は16W、CWは50Wで計算することになる。
ただし、その他のモードは平均電力率が1とされている。近年の免許申請では電波形式は一括表記となるために、SSBとCWだけで免許申請するのは少々面倒。なにより、DX通信で主流となっているFT8は平均電力率が1となっている。
実際はFT8などは、15秒のタイムスロットで送信と受信が交互に行われることから、分単位で見ると平均的な送信デューティは50%未満となる。
電波防護指針では電界強度や電力束密度は6分間の平均を取ると書かれている様なので、FT8などは平均電力率を0.5と扱ってもよい様に思うが、この解釈は間違いだろうか。
6分間の平均ということであれば、無線機にはTOT(Time-Out Timer:送信時間制限)の機能が搭載されているモノもあるので、これを使うことによって平均の送信時間が50%を超えない様にすれば、電波防護指針の計算に於いて電波形式に限らず平均電力率を0.5として申請できるようになるのでは無いか。
例えば無線機が
・3分間の送信時間と受信時間の比を監視して、送信時間が50%を超えなければ、次の3分間も同じ様に監視を継続する。
・3分間の送信時間の比が50%を超えた場合、次の3分間で6分間の送信時間の比が50%になるように、送信時間制限を行う。
例えば、3分間連続送信した場合、3分に達した所で強制的に受信に戻り、以後の3分間は送信ができないようにする。
6分間の平均という解釈が誤っていなければ、この様な機能を無線機に搭載して、ユーザーが解除できないようにしておけば平均電力率を0.5として申請できると思うのだが、、、。この程度であれば、メーカーもほとんどコストを掛けずに搭載可能だと思う。(ファームアップで対応できる)アナログな自作無線機であっても搭載は簡単だと思う。
なお、平均電力率が0.5になっても電界強度としては√0.5=0.71で3割減にしかならないが、、、。
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